主人公であるぺーぺーのイチ乃には、これでもかこれでもかというほど、辛い現実がやってくる。双子の弟の太二は、社会生活どころか、人間としての生活が再起不能になるほど打ちのめされます。(ただアニメ描いてるだけなのに、こうなるとかって・・・その職場どんだけー・・・)
このマンガはすごい。
これほどグロいマンガはそんなに読んだことがない。
しかも、このマンガのすごいところは、そこじゃない。
マンガで描くのはアニメーターのあれこれだけ。
だけど、そのグロさというのをちゃんと万人に届くリアルさで描ききってる。
特に、仕事をするところに感じる「やるせなさ」においてはピカイチ。もうリアルでリアルで。
多分どの職業の人が読んでも、イチ乃達の気持ちが、胸に迫ると思う。
私は、途中何度も身につまされてすぎて吐きそうになった。
湯田上が辞めざるを得ないシーンは、ないた。
あれはいかん。あれは。あれは、辛すぎる。
なんでこんな話が描けるんだと思ったほどだ。(作者があとがきで(存在が近いのが)主人公よりも「私は湯田上ではないかと思う」とおっしゃっていたので、納得。)
あと「天才はいるよなぁ」に込められたトリックには舌を巻いた。
強い人が弱さを見せた同情的一瞬ではなく、「自分が何かから降りる道連れを探している」とは。
うんうん、いるいるあんなヤツ。
だけど、あれを「呪い」だと気づいた主人公は、アニメーターをやっていけると思った。
主人公は、何度もめげそうになりながら、立ち上がる。それはもう痛々しいほどに。
朝日新聞は、「働く全ての人に読んで欲しい ビタミン効果抜群の一冊」とコラムに書いたけど、私はそうは思わない。
これ、仕事で落込んだ時に読んだら、大変なことになると思うよ・・・
もちろん「イチ乃達に勇気をもらった。がんばれる」と思う人もいるだろうけど、私は「よし、自分はダメだ。辞めよう」って思うと思う。
血で飛ぶんだ、という魔女宅の言葉がある。その言葉を借りるなら、この話の主人公は「血」が存在してる。間違いなく。
その「血」の存在感の前に圧倒的に打ちのめされると思うな。
でも、同じ「血」を描いたマンガで、かつ、登場人物が再起不能にまで打ちのめされるという点が同じな、日本橋の「G戦場ヘヴンズドア」は元気が出るから不思議。
どっちもそれぞれのよさがあって、読み分けていきたいと思う。
私の好きなキャラは、イチ乃でも湯田上でもなく、実は、のんの。
ひらひらの服を着ることが、自分であった、のんの。
無理言って演出に上がった時にさえ、その自我を捨てられなかった。
だけど、その服を脱ぎ捨てた瞬間。これは、ぞくぞくした。
脱ぎ「捨てる」のに対し、「生まれ変わるのではなく、そのまま動いてやる」と言わせた演出。
これはキたなぁ・・・うめぇよ、石田。
片思いは辛い。それを身をもって知った上で「両思いが目的で恋するんじゃない、片思いせずにいられない」
そんな風に言うのんのがあまりにかっこよくてすごく好き。
最初は「アニメ「の」お仕事!」じゃないんだ?と思いました。タイトル。
でも、ちゃんと読むと「アニメ「が」お仕事!」に深い意味があったことに気づきます。
「アニメ が お仕事」。うん、どんな仕事についていようが、そう言える事、すごく大事だと思うね。
作者は、石田敦子。
って。
ちょ、おまっ、石田敦子って!!!あの(?)アニメーターの石田敦子と、同姓同名の別人だと思っていました。
石田さん、私てっきりアニメーター続けているのだとばっかり;;;
ジェイデッカーのキャラデザ超好きでした。
私にとっては石田さんがアニメーター辞めてたって事実もかなりショックでした。
このマンガ。アニメーターさんが読んだらどう思うんだろうか・・・
このマンガがどこまでノンフィクションなのかわかんないですけど、辞めた人間への再就職先への嫌がらせの電話のくだりが事実だったら、なんか色々もにょる。

全7巻ッス!